田中成道の日記

田中成道の日々の日記です。

YOUNG SEIDO(11) 〜男同士でキス☆〜


(注…はじめて見られる方へ
YOUNG SEIDOは田中 成道の過去の話です。
登場する人物の名前は
基本
仮名として読み進め下さい。



みなさん今晩は。

僕達は「ロングバケーション」を見ています。
完全にはまっています。
石垣島ではテレビがNHKしか映らなかったので
レンタルビデオショップに行って内地で放送されたテレビ番組の録画を借りて見るのです。
この時期にあと「王様のレストラン」も見たなあ。

ライブハウス終了後はエディと遊ぶことがほとんどだった。

24時間営業の喫茶店へ行き、ゲームの花札(たしか500円でプレイして勝てばお金がもらえる)したり飯食ったり。
そのあとエディの家でビデオ見たり音楽聴いたり。


エディのステージ名は表向きには50年代にアメリカで活躍した「エディ・コクランサマータイムブルースなど歌っていた)」から来ているとお客さんには言ってるのですが
本当はヴァン・ヘイレンのギタリスト、エディ・ヴァン・ヘイレンからきています。
その影響で僕もヴァン・ヘイレンを聞いた。ハードロックはそれしか知らないけど。


僕はというと
サイモンとガーファンクル以外には
ジェリー・リー・ルイスに憧れていました。(なのでステージ名も「ジェリー」)

ショータイムではこの「火の玉ロック」という曲や
エヴァリー・ブラザーズの「バイバイ・ラブ」などを歌っていました。


当時の使用機材は


YAMAHA CP80M … グランドピアノタイプのエレキピアノ。当然弦も張っているので毎月の調律が必要。また、強く鍵盤を叩きすぎたせいか月に一回は弦を切っていた。MIDI OUTが付いているので外部のピアノ音源モジュールなどを鳴らせれた。

HAMMOND XB2 … オルガン。デジタルで作ったプリセットを保存出来た(今では当然の機能)。今現在これ欲しいです。


YAMAHA DX7 … 懐かしい!あんまり使いこなせていませんでしたがこれでストリングスや効果音も鳴らしていた。

盛り上がった時はピアノに乗って弾いてたりもしたのでした。







ほとんどエディと遊んでいたわけですが
たまにエディの友人達とも一緒に遊ぶこともありました。
ある日
エディの友人が
「フィリピンパブに行きたい」
と言いだし
四名でフィリピンパブに行った。
もちろんみんな初めてです。


フィリピン女性3人が席についた。
そこで当時はやっていた王様ゲームをする事に。



僕はフィリピンパブも王様ゲームも初めてだったので高揚していた。




しかし、
フィリピン女性たちは怖ろしいほどにクジ運が強く
男性軍が王様になる回数は少なかった。
その上に
フィリピン女性たちは母国語を操り
お互いの引いた番号を教えあっていたようです。
なのでフィリピン女性が王様になった時は地獄でした。



客同士、男性同士で抱擁させられるのは序の口
最終的に男同士でキスさせられる始末。


本当に最悪でした。
お金払って男同士でキスて。






私生活ではモテない感じでしたが
仕事では少しモテてました。
夜の商売ですっかり日焼けも消え、色白に戻った僕は
見た目がすっかりナイチャー(内地の人)に戻っていた。




ある日、客の女の子の席に座っていた。
「セイちゃん(成道の事)の目が好きさー」

という18歳のアミ。
告白なのだろうか…
よくわからないけど僕に気があるのはたしか。
でも相変わらず僕は恋愛禁止だった。


アミは高校を卒業し内地に就職したようだ。
その後沖縄に帰って来るたびにこのライブハウスに来るようになる。
その話はまた次回に。





この時期、従業員の入れ替わりが激しかった。
急に来なくなる者、いなくなる者が多かったが
キチンと辞めた人間は
後に再びライブハウスで働くこともあった。


エディの前任のギタリストのブライアンも店長としてライブハウスに戻ってきた。


この時期に従業員用に借りていたアパートの一室が空いたので
僕はそこに引っ越しました。
石垣島に来てやっとまともな住居に住めるようになった(大出世!)。




三階建てアパートの三階、二階は「shall we dance?」的なダンスクラブになっていて
僕の隣の部屋にはそのダンスクラブで働く蘭丸薫という妙な男が住んでいた。
名前とはうらはらに?太っていて名前と見た目はギャップがある。
なにより出会いが強烈だった。






観光シーズンの夏、真昼間から
僕はライブハウスのチラシを配りに
フェリー乗り場や商店街(あやぱにモール)を歩き回っていました。
一人で配ったり、従業員の女の子と二人でくばったり、
配り終わったらライブハウスに戻って掃除して開店、そして深夜まで営業…朝まで練習、激務でした。


そんなある日、僕は見てしまった。
フェリー乗り場へ一人でチラシを配りに来たのだが
フェリーから降りてきた観光客を迎える男がいた。
一人で踊っている。

まるで見えない誰かと二人で踊っているかのようなその男は
モーゼの十戒のワンシーンを再現したかのように真っ二つに避けて通る観光客など気にもしていない。
完全に踊りに夢中だ。


変な男のせいで二方向に分散してしまった観光客に必死でチラシを配りまくった。
こんな日に限って一人だとは…


一通りくばり終わって一息ついているとその変な男が話しかけてきた。
「君もチラシくばりかい?」
見た目とはうらはらにかなりクールなセリフ回し、(てかチラシ配らず踊ってましたね、この男)
「僕はこの店の宣伝をしてるんだ」
チラシを見せられる。
ん?
住所が僕のアパートと一緒!二階はダンスクラブやったんやあ。
「僕の名前は蘭丸薫、32歳。ダンスクラブでダンスの修行中。君の名は?」
それ本名?とも聞けず
内心嫌々自己紹介をした。
そしてダンスクラブの上の階に住んでる事を伝えると驚きの事実を聞いた。
この蘭丸薫、隣の部屋に住んでるのである。




嫌な予感がする…(スターウォーズで登場人物の誰かが一回は必ず言うセリフ)


17歳の夏は過ぎ去っていった。






次回、YOUNG SEIDO(12) 〜真夜中のワルツはいかが?〜