田中成道の日記

田中成道の日々の日記です。

YOUNG SEIDO(10)〜17歳(PART2)〜

みなさん今日は。

石垣島での始めての冬を迎え年を越しました。



体の芯まで冷えるような寒さではないのですが
沖縄の冬は風がすごい。

そして僕の住んでいるプレハブは隙間が多くて風がビュービュー入ってきてました(割ったガラスは修復済み)。


寒くなってくるとおでんを食べたくなってきます。
石垣島でもおでんはあった。
リーダーの母親の経営するスナックのそばに
さらにその母親(祖母)の経営するおでんが美味しいお店(ネットで調べると有名なお店)がありました。
そこにライブハウスが終了した深夜3時くらいから
おでんを食べに行くこともありました。

おでんの具で印象的だったものは

青菜とテビチ(豚足)、ポークウインナーとか。
八重山そばもデージ(とても)美味しかった。
そのお店にはホステスさん達とも行く事がありました。



ホステスといえば
アケミ(中国人の娘)はスナックを辞めた。
急に。
理由もわからない。



ただ居場所は分かる。


目の前にいる。
「サンドイッチ作って来たさー」
僕はどこから喜んでいいかわからず脳の機能が停止していた。
アケミから僕の部屋に行きたいと電話があって、
ライブハウス終了後の深夜に僕の部屋に来てくれたのである。


まだまだ僕の脳の昨日は停止したままだが
記憶にも残らないような
くだらない会話をしながら朝を迎えた。


気がつくと一人で寝ていて布団をかけられていた。
夢だったのかと思いきや
置き手紙を発見して心臓の鼓動が一気にあがった。


この気持ち…なんだろう…
ドキドキして心が体からはみ出してるんじゃないか…



僕はBEACH BOYSの「DARLIN'」をずっと聞いていた。



この曲はいつ聞いても素敵です。甘酸っぱい。


そして日常。


僕はバンド練習でリーダーに怒られていた。
リズムが悪く、8ビートを刻む事さえもたついていた。
改善点はノートに連ねる。
この日も朝方まで店でみっちり練習した。


家に戻るとアケミが寝ていた。


来てくれてたのか(部屋は窓から出入りするため鍵など無い)。
まるで彼女のようだ。
僕は複雑な気持ちであった。
それというのも
まだまだミュージシャンとしては駆け出しなので
恋愛禁止をリーダーから言い渡されていたのであります。
まあ、部屋に来て話するくらいなら恋愛でもないし、
と心の中で言い訳しながらも
誰にも内緒にした。


アケミはほぼ毎日僕の部屋にやってきた。
来て他愛のない話をして朝方帰っていく。
ライブハウスでは怒られてばかりだったけど

毎日が楽しかった(カメラ目線でピース)。








と思いきや
二月に入ってすぐアケミは家に来なくなった。


どうしたのだろう?
不安になったのだけど
もうすぐ僕の誕生日。
きっと何かサプライズを企んでるのだと思っていた。




そして
日が経ち誕生日。
僕は17歳になった。


アケミの行方が分からない。
当時は携帯電話もポケベルも無かった。
こちらから連絡をする術は無かった。
意を決して以前働いていたスナックから連絡先を聞いてみる。


電話をかけた。
アケミが電話に出た。



主語も述語も使わず、ただ
「どうしたの?」
と聞いた。







「やっぱりエディが好きなの」




「…
…」


そこから僕は何も喋れなかった。
用意した小銭がどんどん無くなっていって
電話は途切れた。

もうかけ直す小銭も勇気も無い。。。。






電話ボックスから出た僕を待っていたのはショータイム。
今日も楽しくライブをしなくては。

ステージ上でエディを見る。
罪なヤツだ。
と思いながらも
かなわない。
演奏も接客も人としても。

まだまだちっちゃな僕でしたが
エディの人柄の良さも十分に感じていた。


落ち込むわけにも行かなかった。僕には夢がある。



その後は
唯一の友人のエディと遊ぶことが増え、飲みにいったり
仕事後はよく遊んだ。



思えばこんな友人は今までいなかった。
しかし、
一つエディに後ろめたい事があった。


年齢を偽っていたこと。
僕はどうにかしてそれを伝えたかった。


少林寺拳法茶帯に昇格した時にもらった少林寺拳法の顔写真付き身分証明書があった。
これを
エディの家に行った際にわざと忘れて帰った。




そこからは上手く情報を伝えることが出来、(僕はとても口下手で、一から物事を伝えることを敬遠していたのです)
謝ることも出来た。
エディはというと
それから特に態度が変わるわけでもなく
それからさらに仲良くなった。






17歳、初めての恋愛は失恋に終わったけど

素敵な友人が出来ました。

冬は去ってもうすぐ春。

つづく。

次回
YOUNG SEIDO(11) 〜男同士でキス☆〜
お楽しみに。